コミケ(コミックマーケット)は、東京ビックサイトで年2回行われる日本最大級のイベント。これまでは一般参加する側だったけれど、自分でもオリジナルグッズを売ってみたいという方もいるのではないでしょうか。
しかし、コミケで売ってはいけないものについて、以下のような悩みをお持ちではありませんか。
- 売ってはいけないものってなんだろう?
- 法律違反したら、どうなるの?
- 結局のところ、同人グッズは作成してもいいの?
本記事では、コミケで売ってはいけないもの、著作権に違反したらどうなるのか、コミケで売れるものと注意点について、詳しく解説していきます。
コミケで売ってはいけないものは?

同人誌即売会であるコミケは、二次創作である同人グッズを売ることができます。しかし、自作であっても著作権法、薬事法、食品衛生法、消防法などに触れるものは販売が禁止されています。
特に、著作権法に違反する二次創作作品は注意が必要です。
著作権法に違反するもの
コミケでは、著作権法に違反する商品を販売することは禁止されています。著作権とは、著作物を創作した人の利益を守る権利です。
小説、アニメ、音楽、美術など、創作性のあるものには作成した時点で著作権が発生します。そのため、他者が無断で使用すると、著作権侵害にあたります。
また、コスプレイヤーや芸能人の写真を使ったグッズは、肖像権やパブリシティ権を侵害する可能性があるため販売できません。
参考URL:著作権法
二次創作はグレーゾーン
二次創作とは、既存のキャラクターや設定をもとに創作された作品のことです。二次創作を著作権者の許可なく販売すると、著作者の利益を侵害する行為となり、罰則の対象になります。
ただし、著作権侵害は親告罪のため、著作権者が訴えを起こさなければ罰則は科されません。一部の著作権者は二次創作をグレーゾーンとして黙認していますが、すべてが許されているわけではありません。
大手企業や著名人から突然裁判を起こされるなど取り返しのつかない事態に発展するかもしれません。
コミケの理念とは?
コミケの理念は、みんなが対等な「参加者」であり、対等な立場で作品を発表し交流することです。そのため利益を得る「販売」ではなく、「頒布(広く配る行為)」という言葉が使われます。
ガイドラインでは、以下の頒布は禁止されています。
- 著作権や商標権などの知的財産権を大きく侵害するもの
- 公序良俗に反する内容や法律に触れるものリスト
法律違反していない場合でも、頒布した作品が原因でトラブルになる可能性があるため、ルールを守ることが大切です。
立体物の製作は特に注意
二次創作の立体物(フィギュアやアクセサリーなど)の製作には、特に注意が必要です。著作権や商標権の問題が発生しやすく、公式が厳しく取り締まることもあります。
立体物に対しては、著作権者の権利行使が頻繁に行われるため、リスクを避けるためにも頒布は控えるのが賢明です。
著作権法に違反したらどうなる?

著作権法に違反した場合、知らなかったでは済まないケースもあります。罰則や同人誌に影響を及ぼした判例を解説します。
違反した場合の罰則
著作権法に違反した場合は、過剰な収益や悪質性の高さによっては民事罰が科される場合も。罰則には以下のものがあります。
罰則の種類 | 内容 |
---|---|
差止請求 | グッズの回収・販売中止など |
損害賠償請求 | 著作権を侵害したことによる損害の賠償 |
不当利得返還請求 | 著作権侵害によって得た利益の返還 |
名誉回復等の 措置請求 | 著作権者の名誉や信用を回復するための措置 |
刑事罰 | 10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金 (またはその両方) |
法人関与の場合 | 法人に対して3億円以下の罰金 |
トラブルが発生した場合は、適切な対応を行い、必要に応じて弁護士に相談しましょう。
参考URL:著作権法における罰則規定の概要|文部科学省
参考URL:著作物を無断で使うと? | 著作権って何? | 著作権Q&A
同人誌に影響を及ぼした判例
同人誌に影響を及ぼした判例や条例を、具体的に紹介します。
美少女戦士セーラームーン同人誌事件
1999年、「美少女戦士セーラームーン」のキャラクターを使用した成人向け同人誌を制作・頒布した同人作家が、著作権法違反で訴えられました。
原告の講談社は、キャラクターや世界観を無断使用し、原作の健全なイメージを損なう作品を頒布したことが著作権侵害にあたると主張。
東京地方裁判所は、「二次創作であっても著作権者の許可がなければ著作権侵害にあたる」と判断し、同人作家に損害賠償を命じました。
この事件をきっかけに、二次創作は合法とは言えないことが広く知られるようになりました。特に成人向け作品は訴訟リスクが高いとされ、多くの大手出版社が対応を慎重に進め、ガイドラインを整備しています。
ポケモン同人誌事件
1999年、同人作家が、アニメ「ポケットモンスター」のキャラクターを用いたわいせつな内容の同人誌を制作・販売し、任天堂など3社が著作権侵害で告訴しました。
問題となったのは、キャラクターのイメージを損なう性的描写と、通販による未成年への流通です。同人作家は逮捕され、罰金10万円の略式命令を受けました。また、同人誌を印刷した印刷会社も、著作権侵害ほう助の容疑で摘発されています。
この事件は、これまで当たり前のように見過ごされてきた非営利の二次創作について、改めて考えさせるきっかけになりました。著作権や原作のイメージを守ることの大切さが広く知られるようになった事例です。
参考URL:ポケモン同人誌著作権問題関連
2010年東京都「青少年の健全な育成に関する条例」
2010年、東京都は「青少年の健全な育成に関する条例」を改正し、架空のキャラクターであっても「児童に見える場合」は規制対象としました。東京ビッグサイトを会場としているコミケは、この条例を遵守し、2011年から、成人向け同人誌の頒布ルールを厳しくしました。
特に、18歳未満に見えるキャラクターの性的描写がある作品は規制の対象となり、頒布を見送るサークルも増えたようです。
参考URL:東京都青少年の健全な育成に関する条例
コミケで売れるものは?

同人誌を売ることができるコミケですが、頒布者にはモラルが求められます。著作権を違反することなく、コミケで売れる二次創作グッズについて詳しく解説します。
オリジナル商品
自身が著作権をもつオリジナル商品は、コミケで問題なく頒布できます。個人の思想や表現によって生み出された作品は一次創作であり、著作権の問題は発生しません。
しかし、キャラクター、ロゴ、デザインの模倣は二次的著作物となり、著作権の対象となるため注意が必要です。キャラクターやデザインが完全オリジナルであっても、ロゴが模倣した作品であれば、著作権侵害となる場合もあります。
また、既存のコンテンツを使用する場合は、著作権フリーのものを選ぶか、適切な引用ルールを守りましょう。
著作権者の許可を得た商品
二次創作を作成する場合、まずは著作物にガイドラインがあるかを確認しましょう。ない場合には、直接許可を得る必要があります。
著作権者へ直接連絡するか、代理人を通じて交渉し、契約書を作成します。契約時には、利用範囲・方法・対価などを明確にしておき、権利を侵害しない範囲の創作を行いましょう。
営利目的でない商品
営利目的でない商品は、著作権法における「私的使用のための複製」に該当し、基本的に許容されています。つまり、個人で作成し、個人的に楽しむ範囲であれば問題ありません。しかし、この範囲を超えて営利目的で頒布する場合は、著作権侵害となる可能性があります。
一般的に同人誌の相場は500円前後とされており、同人誌の価格設定は、ページ数×1.2~1.5円程度が一般的。ページ数・印刷部数・カラー印刷の有無などによって価格は変動しますが、大量に印刷しない場合はほぼ収益は得られず、営利目的とはみなされにくいとされています。
ただし、結果的に非営利価格の範囲を超えた時、売名につながった場合などに訴訟を起こされるリスクがあります。著作権設定をされている著作物に関しては、著作者に連絡し確認しておくと安心です。
原作の世界観を損ねていない商品
原作への敬意を忘れず、世界観を損ねないよう注意しましょう。過度な性的描写や暴力表現は、原作の意図を大きく改変し、イメージを悪くしてしまうことも。
著作権者の意向に反すれば、トラブルとなる可能性は高まります。原作の継続に関わる可能性もあるため、モラルをもった創作活動を心がけましょう。
コミケで売る二次創作の同人グッズを作成する際の注意点

コミケで売る二次創作の同人グッズを作成する際の注意点を紹介します。
作品のガイドラインや規約を確認する
近年、多くの作品において公式ガイドラインが設けられ、許可される範囲や禁止事項が明記されています。作成前にこれらを確認し、許容範囲を超えないようにしましょう。
特に、二次創作が許可されている場合でも、商業利用の制限や特定の表現が禁止されていることがあります。
ガイドラインが発表されていない場合は、著作者が黙認しているケースもあります。しかし、著作者が訴えを起こせば訴訟になる可能性があります。
また、以前はガイドラインが存在しなかった作品でも、新たに制定されることがあるため、作成前に最新の情報を確認しましょう。
トレースやコピペをしない
トレースやコピーは、著作権侵害に該当するためしてはいけません。たとえ一部であっても、原作のキャラクターや設定をそのまま使用することは違法となる場合があります。
個人で楽しむ範囲であれば問題ありませんが、第三者へ譲渡したり販売したりすることは複製権の侵害となり、リスクを伴います。
万が一、頒布したグッズが第三者により高額で転売されれば、作成者の収益とみなされ事件化する可能性があります。
公式に似せたグッズを作成しない
ロゴやキャラクターデザイン、タイトルなど公式のデザインに似たグッズは、消費者が公式商品と誤認する可能性があります。
公式と判別がつかないグッズの作成は、消費者の混乱を招くため避けましょう。消費者保護の観点から問題視されるだけでなく、著作権侵害と判断されるリスクも高まります。
著作権法では、類似性が高いものは「依拠性(既存の著作物を参照して作品を創作すること)」があるとみなされ、著作権侵害と認定されるケースがあります。
公式のデザインを参考にする場合でも、独自の創意工夫を加え、完全に異なるデザインになるよう意識しましょう。
二次創作の同人グッズを作成する方法

コミケは同人誌以外にも、アクリルキーホルダーや缶バッジなどのグッズが頒布され人気を集めています。二次創作の同人グッズを作成する方法を紹介します。
個人で作る
個人で作って頒布できる同人グッズは、著作権を侵害しないオリジナル作品が基本です。たとえば、自分で描いたイラストや創作キャラクターを使ったポストカード、ステッカー、しおり、ポスターなどは問題ありません。
自宅やコンビニのプリンターを利用すれば完成までに時間もかかりません。紙質にこだわれば、納得するクオリティのグッズとなり、ノベルティや頒布品として喜ばれます。
業者で作る
業者に依頼すれば、アクリルキーホルダーや缶バッジ、アクリルスタンド、ハンドタオル、マグカップなど本格的なグッズも作成できます。
印刷や素材にもこだわっており、クオリティの高いグッズ製作が可能です。また、大量に作成すると価格が安くなることも。
しかし、こうした業者は「著作権を侵害しないこと」を前提に依頼を受けています。各会社で、ガイドラインや禁止事項が設けられているため、依頼前に確認しましょう。
オリジナルファクトリーでも利用規約を設けており、以下のものは禁止しています。
- 第三者に損害を与える
- 法令に違反する
- 財産、名誉、プライバシー等を侵害する
- 著作権を侵害する行為
利用規約を確認し、同意の上ご利用ください。
参考URL:利用規約|オリジナルファクトリー
創作したい作品をコミケで頒布できるか心配な方は、オリジナルファクトリーにご相談ください。コミケで売れやすいグッズについても数多く取り扱っています。
以下の記事で作成できるグッズについて詳しく解説しています。

まとめ

コミケで売ってはいけないものや、著作権を考慮したグッズ作成ポイントは以下のとおりです。
- 著作権法に違反する可能性のある二次創作の同人グッズは注意
- 著作権を侵害した場合には、民事・刑事罰が科される可能性がある
- コミケで頒布できるのはオリジナル商品
- 二次創作の頒布物は、著作物のガイドラインを遵守したもの
法律やモラルを守り、コミケでオリジナルグッズの頒布に挑戦してみませんか?
グッズを作成する際は、さまざまな二次創作グッズに対応しているオリジナルファクトリーに、ぜひご依頼ください。