印刷技術の一つである昇華転写プリントとは、どのような仕組みなのか、特徴・メリットについて気になっている方も多いのではないでしょうか。
特殊なインクを使って行う昇華転写プリントは、高品質で長期間美しい状態を維持できることから、推し活グッズや子ども・ペットのグッズなどの作成に多く活用されています。
そこで本記事では、昇華転写の仕組み、特徴、メリット・デメリットを詳しく解説します!
昇華転写プリントが気になっていた方は、本記事を読むことで仕組みからメリットを完全網羅できますよ。
1.昇華転写とは?
昇華転写とは、特殊なインクを使用しながら熱と圧力を加えることでインクを気化(昇華)させ、対象物に染み込ませて色やデザインを転写する印刷技術です。
昇華転写に使用するインクは「分散染料インク」と呼ばれるもので、主にポリエステルやアセテートなどの合成繊維に反応します。
このため、昇華転写プリントでは綿やシルクなど、天然繊維には直接印刷ができません。
また、昇華転写プリントは、インクが対応する素材にしっかりと結合するため、鮮やかな発色と高い耐久性を実現できるのが特徴です。
仕上がりが鮮やかで耐久性が高いことから、オリジナルグッズの作成やアパレル商品など、多くのものに活用されています。
昇華転写を利用したプリントは、高温転写によってインクが気化して素材の中に染み込むという特性からポリエステル・アクリル系など耐熱の素材が対象。
例えば、スマホケースはポリカーボネート素材ですが、そのままでも転写可能ですし、アクリル系コーティングを施すことで、より高濃度で発色良く仕上げることができます。
2.昇華転写の仕組み
昇華転写プリントは、以下のようなプロセスで行われます。
(1)デザインの作成
昇華転写を行う前には、デザインソフト(Adobe PhotoshopやIllustratorなど)を使用して、印刷するデザインを作成します。
商品やグッズのクオリティを高めるためにも、デザイン・解像度にはこだわるようにしましょう。
(2)専用用紙に印刷
デザインが決まったら、昇華転写用のインクを搭載したプリンターで、デザインを専用の転写紙に印刷します。
プリンターは、エプソンやSawgrassなどの専用プリンターが一般的です。
昇華転写用のインクは、熱で気化し素材に浸透する特性を持っており、ポリエステル製品や特定のコーティングが施された素材に鮮やかで耐久性の高いプリントを実現します。
(3)熱と圧力を加える
デザインを転写したら、専用のヒートプレス機を使用し、転写紙と対象物を高温(180~200℃)で圧着します。
熱と圧力を加えることによって、インクが気化(昇華)し、素材の内部に染み込む仕組みです。
(4)冷却して完成
熱と圧力を加えた後は、ヒートプレス機から取り外し、冷却することでデザインが定着します。
冷却後は、色ムラや転写のズレはないか、印刷面が剥がれたり、薄れたりしていないかをチェックし、完成です。
3.昇華転写プリントのメリット
特殊なインクと転写技術を用いてデザインを仕上げていく昇華転写プリントは、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、昇華転写プリントのメリット4つを解説していきます。
(1)鮮やかな色彩で作成できる
昇華転写プリントは、インクが素材に直接染み込むため、印刷面が一体化し、色の再現性が高いのが特徴です。
写真や複雑なグラデーションも美しく表現できるため、商業用途や高級グッズ制作にも適しているプリント方法です。
(2)耐久性に優れている
昇華転写プリントは、インクが素材の内部に浸透するため、デザインが剥がれたり、色あせたりしにくいのがメリットです。
耐久性が高く、洗濯や摩擦にも強い仕上がりは、長期間美しい仕上がりを維持できますよ。
※一部商品洗濯NGの場合もあります
(3)小ロット生産ができる
昇華転写プリントは、従来のプリント方法と違い、版を作る必要がありません。
そのため、1点からの少量生産や個人向けオーダーメイド商品の作成、小規模なプロジェクトに最適です。
試作品作りにも活用できるため、プロトタイプやテスト印刷としても利用可能です。
(4)環境への配慮
昇華転写プリントは、印刷プロセスで水を使用しないため、他の印刷方法に比べて環境負担が少ないのもメリットです。
揮発性化学物質を含まず、作業環境にも優しいのがポイント。無臭で安全な上に、版や余分な材料を必要としないことから、廃棄物が少なく効率的に作業ができます。
4.昇華転写プリントのデメリット
メリットの多い昇華転写プリントですが、デメリットも事前に確認しておきましょう。
昇華転写プリントのデメリットは、以下の3つです。
(1)素材の制約
昇華転写プリントは、ポリエステル素材やポリエステルコーティングされた商品に限られるため、綿や天然素材には使用できないのがデメリットです。
また、マグカップやスマホケースなどのハード素材には、昇華転写用のコーティングが必要になります。
(2)高温・高圧が必要
昇華転写用のプリンターとインクは一般的なプリンターよりも高価なことから、導入コストがかかってしまうのがデメリットです。
また、高温と圧力を加えるための専用機材も必要となるため、初期投資が高く、個人や小規模事業者にはハードルが高いことが懸念されます。
近年は、1個からでも生産を依頼できるオリジナルグッズ作成サイトもあるため、まずは業者に依頼してみるのもおすすめです。
(3)濃色の素材には不向き
基本的に、昇華転写プリントは白や淡色の素材で最も効果を発揮するといわれています。
そのため、濃い色を使う素材にはインクが透けてしまい、仕上がりが美しくならないケースも。
濃色の素材にデザインを鮮明に印刷する際には、別途下地処理が必要になる可能性も視野にいれておきましょう。
5.昇華転写と他の印刷技術との違い
昇華転写とよく比較される印刷技術には、「シルクスクリーン印刷」「インクジェット印刷」などがあります。
ここでは、それぞれの違いを解説していきます。
昇華転写とシルクスクリーン印刷、インクジェット印刷はデザインやデータを素材にプリントする技術ではあるものの、比較すると以下のような違いがあります。
昇華転写 | シルクスクリーン印刷 | インクジェット印刷 | |
---|---|---|---|
印刷方法の違い | 特殊なインクを転写紙に印刷し、高温と圧力をかけて気化させ、素材内部に染み込ませる技術 | 版を使用し、インクを網目状のスクリーンから素材に直接転写する技術1色ごとに版を作成するため、色の種類に応じて工程が増える | プリントヘッドからインクを噴射して素材表面に直接印刷する仕組み用紙や特殊フィルムへの印刷が一般的 |
対応素材の違い | ポリエステル素材やポリエステルコーティングされた製品に対応 | 布、紙、プラスチック、ガラス、金属など幅広い素材に対応 | 写真用紙やポスター紙などの用紙専用のフィルムやシートを介して布や金属にも応用 |
色の再現性とデザインの違い | 写真やグラデーションのあるデザインも鮮明に再現できる鮮やかな発色が特徴 | 単色やはっきりとしたデザインが得意なプリント方法グラデーションや細かいディテールは再現が難しい場合もある | 色の再現性は高いものの、素材によって発色が異なる場合がある用紙によって仕上がりに差がでる |
生産効率の違い | 小ロット生産や1点ものの製作に適している高温・高圧が必要なため、大量生産には時間と手間がかかる | 版を作成するため、少量生産にはコストが高くなってしまう | 大量印刷に向いているが、耐久性や特殊素材へ対応するには追加コストがかかる |
コスト面の違い | 専用機材やインクが必要で初期費用が高い小ロット作成なら、依頼した際もコストを抑えられる。 | 版代がかかるため、初期費用が高い大量生産では1枚あたりのコストが安くなる | 汎用性が高く、一般的なプリンターでも対応可能コストを抑えられる |
シルクスクリーン印刷は1色ごとに版を作る必要があるため、大量生産向き。昇華転写は小ロット生産や多色印刷に向いています。
一方でインクジェット印刷は手軽で多用途に対応できますが、耐久性や仕上がりの美しさは昇華転写が優れています。
それぞれの印刷方法には違ったメリット・デメリットがあるため、用途や素材、デザインの複雑さに応じて、最適な印刷方法を選ぶことが重要です。
6.昇華転写プリントにおすすめのグッズ
ここではオリジナルファクトリーで作成できる昇華転写プリントに対応したおすすめグッズ5つを紹介します。
昇華転写プリントでグッズや商品の作成をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
(1)スマホケース
オリジナルファクトリーでは、昇華転写を活用したオリジナルデザインや写真が映えるスマホケースを作成できます。
スマホケースの種類としては、側面印刷ハードケースや側面印刷カードホルダーケースの作成が可能。
クレジットカードやポイントカードなどを同時に入れられる便利なスマホケースも、オリジナルファクトリーなら昇華転写プリントで色鮮やかなケースをGETできますよ。
(2)アパレルグッズ
グッズ作成の定番ともいえるアパレルグッズも、オリジナルファクトリーならひとつからお手頃価格で制作可能です。
オリジナルファクトリーでは、ハンドメイドにおすすめのオリジナル布やハンドタオル、ソフトタッチブランケットなどを作成できます。
昇華転写プリントで色持ちもよく質のいい商品を作ることができますよ。
(3)広告・販促ツール
イベントやお店などのアピール、宣伝におすすめの広告・販促ツールもオリジナルファクトリーで簡単に制作できます。
イベントごとにデザインを変えたりするのもスマホひとつで注文ができるため、ストレスフリーでグッズの作成が可能。
卓上ミニのぼりから応援グッズとしても活用できる手旗、広告としても使えるタペストリー、サークル布などひとつひとつお店の雰囲気に合わせて作れるのも、オリジナルグッズならではの魅力です。
(4)インテリアグッズ
オリジナルファクトリーならクッションカバーに昇華転写を施し、オリジナルデザインのインテリアを実現することも可能です。
ペットや家族、イラストなどをお家や店舗のインテリアとして取り入れられるため、好みのもので空間をデザインできるのが魅力。
インテリアグッズでは、布への昇華転写印刷を施したファブリックパネルやクッション、マグカップなどを作成できます。
(5)推し活グッズ
「好きなキャラのグッズをオリジナルで作りたい!」「推しカラーで身の周りのものを集めたい」という方におすすめなのが、オリジナルファクトリーで作る推し活グッズです。
オリジナルファクトリーでは、マフラータオルからふわふわ生地へ印刷できるフェルトキーホルダー、見た目にこだわったレジエコバッグなどが作成できます。
全て昇華転写プリントを活用しているため、グッズの質が高く推し活をさらに盛り上げるアイテムとして活用可能です。
デザインのボケなどが心配になってしまう大きいものでも、鮮明にデザインを映し出してくれる昇華転写プリントなら、お気に入りの1品になること間違いなし!
思い出を形にして残しておきたい方、イベントなどにオリジナルグッズを活用したい方、推し活グッズが欲しい方は、オリジナルファクトリーを覗いてみてはいかがでしょうか。唯一無二のグッズが高クオリティで実現してくれますよ。
昇華転写は高品質なプリントを実現できる!
本記事では昇華転写プリントの特徴から、他のプリント方法との違いを解説しました。
昇華転写プリントは、その鮮やかな発色や耐久性、環境への配慮、小ロット対応など、他の印刷方法にない多くのメリットがあります。
特に、細かな再現性、高い耐久性が求められる製品には最適な印刷方法!
オリジナルグッズの制作や高品質なアパレル製品の製作など、幅広い分野で活躍する昇華転写プリントをぜひ活用してみてくださいね。