オリジナルグッズの販売を成功させるためにはいくつかの注意点があります。法律や税金なども勉強しておかなければ、違法で訴えられたり余分な税金を支払うことになったりと損害を被る可能性も。
この記事では、以下の方を対象にオリジナルグッズ販売における注意点、売れるもの、発注方法について詳しく解説します。
- オリジナルグッズ販売を副業として始めたい方
- 販売を始めようとしたもののつまずいてしまった方
トラブルなく商品を販売するためにも、オリジナルグッズ販売のノウハウを理解しておくことが重要です。また、リスクが最小限となる受注販売(無在庫販売)の方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
オリジナルグッズを売れるものにする5つのコツ
オリジナルグッズを販売するには、売れるものにする必要があります。ここでは、売れるものにするための5つのコツをご紹介します。
- 人気の商品を調べて売る商品を選ぶ
- 適正な価格設定をする
- 適切な販売チャネルを選ぶ
- 顧客とのやりとりを大切にする
順に見ていきましょう。
人気商品を調べて売る商品を選ぶ
まずは、定番商品や売れているクリエイターやショップの人気商品をチェックしましょう。商品を売るためには売りたいものではなく、顧客がほしいものを選ぶことが大切です。
他店と差別化するためには、既存の商品を仕入れるより人気商品を利用したオリジナルグッズ製作をおすすめします。「ここでしか買えないもの」にはそれだけで価値があるため、グッズのファンが増えリピート購入につながる可能性があります。
たとえば、オリファクの人気商品は以下のとおり。
顧客が求めている人気商品を選べば、それだけで注目される確率が高くなります。売れやすい商品に他にはないデザインでプリントすれば、競合に勝てる商品が作れます。
適正な価格設定をする
商品価格は、自分が買う側だったら「このくらいなら買えるかな」という相手の立場に立った感覚が大切です。しかし、もちろん赤字にならないよう、原価を割らない価格にしなければなりません。また、同じような商品を売っている他店の価格をチェックすることも重要なポイントです。
原価を考慮した目標とする価格、競合店との価格差、買ってもらえそうな価格のバランスを意識して販売価格を決めましょう。
適切な販売チャネルを選ぶ
適切な販売チャネルを選ぶことで、ターゲットに効果的にリーチできます。ここでは3つの販売チャネルをご紹介します。
自社ECサイト
無料ECサイトを利用すれば、手軽に自社販売サイトを構築できます。個人で利用しやすいECサイトは以下の2つです。
- BASE(ベイス)
- Shopify(ショッピファイ)
どちらもデザインテンプレートや決済システム、在庫管理などの機能を直感的に利用できるため、簡単に自社ECサイトを立ち上げできます。また、独自ドメインやSEO対策もサポートされているため、ホームページ顔負けの集客も期待できます。
モール型ECサイト
Amazonや楽天市場などのモール型大手ECサイトは集客力があり、多くの潜在顧客にリーチできます。これらの大手ECサイトには信頼性があり、購入者にとって安心感を与えられます。しかし、手数料が高いため利益率の計算が難しいところです。
また、ハンドメイド作品に特化したモール型ECサイトでは、個人の作品を見つけてもらいやすくなります。代表的なハンドメイドECサイトはこちらです。
- minne(ミンネ)
- Creema(クリーマ)
- iichi(イイチ)
手作り作品の出品を考えている方は、Amazonや楽天市場よりもハンドメイド特化のECサイトがおすすめです。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、もともとは個人や企業の夢やプロジェクトを応援することが目的でした。しかし、近年、オリジナルグッズの販売方法として注目されています。
代表的なクラウドファンディングサイトは以下のとおりです。
- CAMPFIRE
- Makuake
- Readyfor
クラウドファンディングなら、集まった資金を元手に商品を開発生産してから支援者に提供できるため、リスクの少ない受注販売も可能です。
夢を応援する仲間同士でコミュニティができるため、リピート購入にもつながりやすいことが特徴。商品に対する熱い思いがあれば、共感されやすく資金が集まりやすい傾向にあります。
SNS
ターゲットが若年層の場合、SNSを利用した販売は非常に効果的です。Instagramのショッピング機能やFacebookのマーケットプレイスを利用すると、簡単に商品を展示できます。SNSの投稿機能で顧客との直接的なやりとりを通じてファンになってもらえれば、長期的なリピート購入につながる可能性があります。
さらに、SNSでは特定のユーザー層向けに出せる有料広告も有効な方法です。ファンが少ない初期に広告を活用すると、顧客のタイムラインに表示される回数が増えるため、広告費以上の売上も期待できます。
顧客とのやりとりを大切にする
オリジナルグッズ販売を成功させるために、顧客との良好な関係を築くことは非常に重要です。顧客に好感をもたれやすい行動は以下の4つです。
注文確認メールに自動返信メールを設定する
注文完了時に自動返信メールを設定すると顧客に安心感を与えられます。メールには注文内容の確認と、今後の流れを簡潔に説明しておくと良いでしょう。
配送状況更新や発送完了通知をする
配送状況の更新や発送完了時に通知すると、商品の到着を待つ間のストレスを顧客に与えにくいでしょう。商品到着まで安心して待てるため、信頼性の高いサービスだと感じてもらえます。
プライバシーポリシーと返品の規約を明確にする
プライバシーポリシーと返品規約を明確に記載し、顧客が安心して購入できる環境を整えましょう。
消費者庁の通信販売における返品特約の表示についてのガイドラインによると「消費者が容易にその内容について認識できるよう、 他の事項に比してより明瞭な方法での表示が必要である。」としています。
プライバシーポリシーについては、顧客が申込みフォームを送信する前にチェックボックスをチェックする仕組みにしておくと顧客に見てもらいやすくなります。また、返品の規約には返品条件や日数、送料の負担について明示しておきましょう。
これらの内容を事前に顧客が理解していれば、無用なトラブルを避けられます。
問題発生時には迅速に対応する
オリジナルグッズ販売に関する注意点
個人事業主や副業でオリジナルグッズを販売する際の注意点は以下のとおりです。
- 法律を遵守する
- 税金を理解しておく
- 知的財産権を侵害しない
- 必要な販売許可を取得する
順に見ていきましょう。
法律を遵守する
オリジナルグッズを販売する際は法律を遵守しましょう。法律を無視すると、罰則や損害賠償、逮捕などのリスクがあるため、正しく法律を理解しておくことが重要です。
特定取引法の対象となる取引は以下の通りです。
1.訪問販売
2.通信販売
3.電話勧誘販売
4.連鎖販売取引
5.特定継続的役務提供
6.業務提供誘引販売取引
7.訪問購入
ここでは、オリジナルグッズを販売する上で特に重要な景品表示法と特定商取引法について解説します。
景品表示法
景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)は、虚偽や誇大広告などの不当表示を禁止し、過度な景品提供を制限する法律です。1度でも景品表示法に違反すると、顧客の信頼を失ってしまう可能性は高いでしょう。
「期間限定」「数量限定」と謳いながらも条件を満たしていなければ、虚偽広告として指摘される可能性も。法に違反すると、課徴金納付命令や景品表示法に基づく措置命令が発出されることがあります。(事例:景品表示法関連報道発表資料 2024年度 | 消費者庁)
景品表示法に基づき適正な表示と広告を行えば、結果的に顧客との信頼関係を築けて売上にもつながります。法律を守り健全な運営を行うことでリピーターを増やし、ビジネス拡大を目指しましょう。
参考:景品表示法 | 消費者庁
特定商取引法
特定商取引法は消費者が安心して商品を購入するための法律です。この法律に基づく表示義務の主なポイントは以下の通りです。
1. 事業者の基本情報(氏名・住所・電話番号)
2. 販売価格および送料
3. 支払方法と時期
4. 商品の引渡時期
5. 返品・キャンセルポリシー
6. 販売数量の制限
7. 特別な販売条件(限定商品・予約販売など)
8. ソフトウェアを販売する場合の動作環境
9. カタログ送付の費用
10. 電子メールによる広告
詳細は通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインをご覧ください。
参考:通信販売|特定商取引法ガイド
参考:特定商取引に関する法律・解説
ただし、2022年には法第11条ただし書により、個人の場合は表示義務が緩和され、表示事項を一部省略できるようになりました。たとえば、BASEやShopifyなどのECサイトでは、個人名や住所の公開について「表記は任意」と変更されています。
参考:特商法の設定マニュアル | BASE
参考:特定商取引法に基づく表記とは? | shopify
税金を理解しておく
オリジナルグッズを販売するなら税金の知識も大切です。法的なトラブルが起こらないよう、しっかりと税金について理解しておきましょう。以下に、所得税と消費税についてのポイントをまとめました。
所得税
所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。副業か個人事業主かで所得税の扱いは異なります。
1.副業の場合
副業としてオリジナルグッズを販売し、所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。ただし、自宅にあった不用品を売却した収入は雑所得に含まれず、所得が20万円を超えても確定申告する必要はありません。
副業で得た所得は雑所得として扱われます。運営や仕入れにかかった費用を経費として計上し、売上から経費を差し引いた金額を申告します。
2.個人事業主の場合
個人事業主として1年間の所得が48万円を超える場合に確定申告が必要です。所得税は、以下の式で計算します。
売上ー必要経費ー所得控除、課税所得 × 税率 – 税額控除
売上が多くなった場合は、青色申告で確定申告を行うと、赤字繰越や最大65万円の青色特別控除が可能など税制上のメリットがあります。
参考:国税庁
消費税
消費税は、消費者が事業者に納付し、事業者が1年間の税金をまとめて国に収める間接税です。個人事業主としてインボイス制度(適格請求書等保存方式)に登録した場合、または1,000万円以上の課税売上高がある事業者に支払い義務が発生します。
課税事業者の条件が当てはまった場合、消費税の課税対象は以下の通りです。
- 国内取引であること
- 事業者が事業として行うもの
- 対価を得て行うものであること
- 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること
個人間の取引は非課税です。個人とは消費者の立場で行う資産の譲渡に該当します。たとえば、自宅にあった古い衣服を売却する場合は、個人間取引とみなされるため、消費税を納付する必要がありません。
参考:国税庁
知的財産権を侵害しない
販売する商品は他者の知的財産権の侵害をしないようにしましょう。知的財産権は創作者の知的財産活動において一定期間の権利を保護する制度です。主な知的財産権には特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権などがあります。
特許権
特許権は、新しい発明に対して与えられる権利です。
実用新案権
実用新案権は、物品の形状、構造または組み合わせに関するアイデアに対して与えられる権利です。特許よりも簡単に取得できます。
意匠権
意匠権は、製品のデザイン(形状、模様、色彩)に対して与えられる権利です。デザインの模倣を防ぎ、オリジナルデザインが保護されます。
著作権
著作権は、文学、音楽、美術、映画、コンピュータプログラムなどの創作物に対して与えられる権利です。これにより、第三者による著作物の使用や配布から守られます。
商標権
商標権は、商品やサービスの識別標識(ロゴ、ブランド名など)に対して与えられる権利です。出所を明確にして類似商品やサービスとの差別化を図り、権利を侵害されないための権利です
故意に知的財産権を侵害した場合、原則として3〜10年以下の懲役、または100〜1,000万円以下の罰金に処せられるケースがあります。安易に2次利用をしないようにしましょう。
参考:知的財産権について | 経済産業省 特許庁
参考:刑事責任の追及を捜査機関に求める | 特許庁
必要な販売許可を取得する
オリジナルグッズを販売するには販売許可が必要な商品があります。以下に、販売許可の必要な商品カテゴリと必要な許可について説明します。
酒類
酒類を販売するためには、酒類販売業免許が必要です。継続して販売する場合、営利を目的としているかどうか、販売先が特定か不特定かにかかわらず「酒類の販売業」 に該当します。個人事業でも、酒税法に基づき販売場の所在地の所轄税務署長から販売業免許を受けなければなりません。
免許の取得方法は販売形態や事業所の所在地によって異なります。税務署の相談窓口で問い合わせできます。
参考:酒類の免許|国税庁
食品・健康食品
食品および健康食品の販売には、以下の許可と資格が必要です。
許可…食品衛生法に基づく営業許可
資格…食品衛生責任者
食品衛生責任者になるためには「公衆衛生学」「衛生法規」「食品衛生学」の養成講習会を受講する必要があります。ただし、以下の資格を持っていれば受講を免除されます。
- 栄養士
- 製菓衛生師
- と畜場法に規定する衛生管理責任者
- 船舶料理士
- 調理師
- 食鳥処理衛生管理者
- と畜場法に規定する作業衛生責任者
- 食品衛生管理者、食品衛生監視員の資格を有する者
条件を満たして施設所在地を担当する生活衛生監視事務所に申請すると、食品衛生法に基づく営業許可がもらえます。
中古品
以下の13品目の中古品を販売する場合には、古物商許可が必要です。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車・原付
- 自転車類
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- 道具類
- 皮革・ゴム製品類
- 書籍
- 金券類
警察署で申請すると審査を経て許可をもらえます。主となる事業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課保安係窓口に、申請書類と手数料19,000円を提出しましょう。古物商であることを表示せずに取引を行うことはできません。
参考:古物営業法 | e-Gov法令検索
参考:古物商許可申請をされる方へ | 警視庁
化粧品
化粧品を製造販売するためには、化粧品製造業と製造販売業の両方の許可が必要です。手作り石けんやアロマ化粧水など手や身体に使用するものは、医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づく化粧品に該当します。
手作り化粧品を化粧品製造販売業許可を得ずに他人に販売や授与(無料で譲渡)すると、医薬品医療機器等法の規制対象となります。
「化粧品製造販売業許可」を得るためには、以下のいずれかの条件に当てはまる人が必要です。
- 薬剤師
- 薬学または化学に関する学部・学科修了者
- 薬学・化学に関する科目を勉強し卒業した後、医薬品または化粧品の製造に関する仕事を3年以上経験した者
化粧品製造販売業許可申請の申請先は各都道府県庁の薬務課や保健所・その他それに関連する機関で行えます。申請から発行まで約60日が必要です。販売日が決まっている場合は、早めに申請しましょう。
医薬品
医薬品を店舗でまたはECサイトで販売する場合、薬局開設許可、店舗販売業許可が必要です。また、実店舗を構えていない場合はインターネットや郵送での販売ができません。ネット販売できる医薬品は、一般用医薬品のみと制限があります。
医薬品は人の命を預かる商品のため、ネット販売するハードルが非常に高くなっています。医薬品を販売する場合は十分な知識が必要です。
問題が発生した時こそ、むしろチャンスです。迅速に解決策を提示し、返品や交換のオプションを提供することで、結果的に顧客満足度を高められる可能性が高まります。
オリジナルグッズの製作・発注方法
オリジナルグッズの製作・発注の手順とポイントを紹介します。
1.商品を選ぶ
売れる商品を選ぶためには、ターゲットの市場を理解することが重要です。ターゲットとなる顧客層のニーズや好みを把握し、品質や実用性を重視した商品を選びましょう。
2.デザインを考える
デザインは売上を左右します。ターゲットに合ったデザインを考え、独自性を出すことが大切です。
無料で使えるデザインツールには以下のものがあります。
Adobe Express | Adobe 社が提供するカスタマイズ性の高い画像加工アプリ |
Canva | おしゃれなテンプレートが豊富でオリジナルデザインも可能 |
DesignEvo – Logo Maker | ロゴデザイン特化のアプリで写真使用は不可 |
デザインツールを活用してプロの仕上がりを目指しましょう。
3.発注する
必要な数量と納期を明確にして発注することが大切です。必要な数に足りない、発売予定に間に合わない、などのトラブルを避けるためにも、十分にシミュレーションしておきましょう。業者との契約内容や返品条件なども事前に確認しておくと安心です。
4.商品を検品する
納品された商品はすぐに検品しましょう。想定していたものとズレがないか、破損がないかを確認します。時間をおいて連絡すると、納品時の問題かどうか証明できず対応してもらえない可能性があります。商品が到着したら、まずは開封し状態を確認することが大切です。
まとめ
この記事では、オリジナルグッズ 販売における注意点を解説しました。
せっかく売上が増えても法律や税金に触れると痛いペナルティがあります。事業を始める前に今回ご紹介した注意点をしっかりとチェックしておきましょう。
オリジナルグッズは個人でも製作可能です。しかし、実績のある業者に依頼すると間違いもなく、大ロットの製品を安価にすばやく製作できます。売れるものを選び、適切なチャネルで販売することで大きな収益も期待できるでしょう。
BASEを使っている方やこれから使う予定の方は、オリファク×BASE連携が便利です。オリファクでは、BASEに注文が入ってから商品製作を開始する受注販売を行っています。あこがれの無在庫販売で制作から発送まで半自動で完了できます。リスクの少ない無在庫販売で、大きな利益を狙いましょう。
オリファク×BASE連携について詳しくは以下のサイトをご覧ください。